余談02「意思決定アラカルト」

Ⅰ. フレーミング効果は、モデルを利用した思考によって消え去る効果である。個人投資家が扱うモデルは、例えば配当再投資による期待リターンをシミュレーションする表であったり、確率的な関数であったりするだろう。これは日本語の表現方法によって同一の事象が異なる事象であるかのように感じられる効果を、モデル化することで最小限に抑えることが可能であることを示唆する。つまり、心理学的なバイアスを回避し、意思決定問題を簡略化できる。ここに、個人投資家が基礎的な数学に親しむメリットがある。数学といっても高校1年生くらいまでの数列と確率計算ができればよさそうだ。投資判断にかかる情報をモデル化し、抽象的に思考することが表現方法によるバイアスを排除しうる。

 

Ⅱ. 1円は1円だ。そりゃそうだ。

ある人が旅費積立貯金をしている。毎年家族で海外旅行をするのが習慣だ。またある人は給与から天引きで投資資金を確保している。手取り月給の25%を証券口座に移すことにしている。残りの75%は自由に使っていいので倹約に伴う苦労はない。

1円は1円ではない。旅費用の1円と生活費用の1円は異なる財布である。投資資金と生活資金も異なる。つまり、自分の予算制約による消費の組み合わせの最適化問題を解いているわけではない。

 

Ⅲ. 事象Bであることを知った後に事象Aである確率は、事象Aである場合に事象Bとなる確率に基礎比率を乗じた確率になる。

P(A|B) = [P(A) / P(B) ] * P(B|A) (基礎比率は[P(A) / P(B) ]のこと)

例えば、トップレベルのリターンを出してきた銘柄の多くがダウ銘柄であると仮定すると、

P(ダウ銘柄|トップレベルの銘柄) > P(ダウ銘柄)  …①

と言える。

このとき、逆に、ある銘柄がダウ銘柄であることを知った場合に(その銘柄がダウ銘柄であるか知らない場合にくらべて)その銘柄がトップレベルのリターンを出してきた可能性が高い。つまり、

P(トップレベルの銘柄|ダウ銘柄) > P(トップレベルの銘柄) …②

と言える。

式①と②において、左辺の確率は異なることに注意。

 

Ⅳ. あなたは個人投資家である。ポートフォリオを公開する必然性はないし、過去のリターンを示す必要もない。非公開の状態で、自分が納得できる売買を目指せる。これは機関投資家にとっては必ずしも自明ではない。誰か、それは顧客や重役であるだろう、に対して客観的に説明しなければならない立場の投資家は、頻度論的な統計学をその分析手法として用いることが可能かもしれない(株式市場においては確率分布の独立性や因果関係の独立性に注意)。対して、個人投資家は自分が納得できればよいのでベイジアンで構わない。

 

売買_8月中旬_2017

こんにちは。ユーリです。

【売買記録】

期間:2017年7月中旬から8月中旬

  • 売却したもの
    • CIG(ブラジル、電力):テクニカルトレードの練習として先月くらいに買った。テクニカル指標の組み合わせをテスト中で、売りシグナルと判断して売ってみた。株価の推移と指標の関係を引き続きモニタリングしてみる。
    • FL(小売り、靴):中長期目的で買ったものの決算発表が怖すぎて売却してしまった。今はホールドで良いのではないかと後悔している。ただ、決算発表が怖いというストレスは解消されて心地よい。
    • KORS(アパレル&アクセサリー、小売り):これもテクニカルトレードの練習として。決算発表前に売却したら、決算発表後に20%超の株価上昇となり(日本時間8/8~8/9)、短期トレードの虚しさを噛み締めた。ちなみに、KORSのBuyBackが10%台後半であることやバリュエーション指標も良さそうに見えることは指摘しておきたい。アジア市場で伸びれば、北米とEUでの減益をカバーできるかもしれないが、当面は減益と自社株買いの綱引き大会といった感じ。
  • 購入したもの
    • ESRX(医療・PBM):大幅に買い増した。決算発表の内容も変わらず堅い印象。長期投資の買い場と見ている。ネガティブニュースとしてのthe Anthem contract問題も、足元の株価では問題ないと判断。
    • TRV(損保):決算発表後に買い戻した。特にオススメでもないし魅力的でもないが、基準としている銘柄である。キャッシュで置いておくくらいならTRVを買おう、というくらいの判断。
    • CB(損保):TRVより高いが、買ってしまった。キャッシュより良いだろうというのは同様。確か、増配24年なので、来年くらいからシーゲル派の方々が買ってくれるのではないだろうか。
    • UVE(損保):またまた損保であるが、TRVとCBが大手であるのに対しUVEは小型である。損保は事業規模と地理的分散が重要であるが、割安と判断できることと、小型株をホールドしてみたいという論理を超えた不思議な感情に従ってみることにした。
    • DISCK(メディア):Discovery Channel, Animal Planet, Eurosportなどを持つメディア企業。自社株買いが10%超。トラの保護区や中米でのテーマパーク建設など面白い。コードカットがネガティブなトレンドの主因と思われる。しかし資本に裏打ちされたコンテンツ制作力では、DISのように一定の強みを持つだろう。まあ、多くの人はDISを選ぶだろうけれど。

テクニカル指標を見ながらのトレードには疲労しました。基本的には、ほったらかしておきたいので、トレードをするつもりはないですが、将来的により上手く買いを入れられないか検討していきたいと思います。

マイペースでやっていきます。

 

余談01「日本企業の株を買わない理由」

私は日本企業の株(日本株)を保有していない。その理由は複合的であり、日本株について評論をする気はない。投資家は評論せず行動するものだ。投資家が述べていることを信じてはいけない、その人がどのような行動をしているかを具に観察する方が良い。

とはいえ、投資行動の判断根拠をメモしておき、習慣的に見返すことには価値があると考えておりこのブログを書いている。

結論から述べると、主だった理由は、1)人口動態と個人所得推移から予測される国内消費の減少、2)日銀と省庁主導の計画経済的な政策、3)円の信認とインフレ制御への不安、4)個別企業の増資やら低ROEやらといった問題、5)暇を確保できない長時間労働や生活習慣を背景とした日本人の知的能力への不安、が挙げられる。

個別論点については詳細を記載しないことにする。察してほしい。

何をしたか。日本株の保有ゼロを維持するために、証券口座内の円をゼロにし、外貨建て100%とした。直近での行動だけみれば、単にドル買いでしかない。しかし、これは日本株とのお別れ宣言でもある。

日本はものづくりに拘泥したと思う。ものづくり社会は低価格競争に巻き込まれる。かつて繁栄したときに積み上げた富は残念ながら底をついた。70歳以上の日本人は世界的に裕福な方々であるが、その資産の多くを円預貯金と不動産で留置き、低賃金長時間労働で疲労困憊である若者を後目に、その有り余る活動性を登山や温泉旅館、健康食品、レストランなどに向ける。留め置かれた富は、当の高齢者たちにとっては備蓄米のようなものかもしれないが、社会としてみれば死んでしまったお金である。そして、日本国内のサービス業も高齢者向けに最適化され顧客が亡くなっていく頃には衰退するだろう。若者の購買が社会の生産性獲得につながるはずではなかったか。若者が知識集約型の仕事で高賃金を受け取っている社会でないと投資する気になれない。

円建て株価は、円安やインフレの進行で上昇する可能性はある。個別銘柄には魅力的な期待リターンを示唆するものもあるだろう。それでも、日銀の資産拡大は円建て生活者に過大なリスクを押し付けているように見えることや、若年世代の貧困化を無視できない。

日本株を買わない理由は、株主還元意識の低さだけで十分である。それ以上の理由があることを書いておきたかった。